“Life Loves You”

先日の記事にも書いたRemembrance Courseが昨夜7時半ごろ終了しました。私自身、参加者としての受講は2008年の6月でしたが、それから2年後の去年の6月からアシスタントとして参加してきました。一度コースを受講すると、アシスタントとしての参加ができます。参加者の時とはまた違った気持ちや視点でコースを体験できるため、より包括的な学びが体験できると言われています。何より、一緒にコースを受講し、またサポートをしている仲間とは、とても気持ちのよい時間を過ごすことができるし、初めて受講する参加者のために提供する時間や労力の何倍ものギフトを受け取ることができます。それはいろいろな気づきであり、学びであり、また自分が完全に受け入れられていると感じられることです。

今回は11人が参加し、日本人では18歳になっていた一(はじめ)君と、彼のお母さん、そしてもう一人21歳の青年がいました。一君は、ALSという難病を抱え、無理もないことですが、死が迫っているという状況で、コースを受ける前はとても落ち込んでいたそうです。12月11日に初めて彼の病気のことを知った直後から、このコースがきっと役に立つはずだと確信してその実現のために行動を開始し、多くの方の協力で、彼だけでなくお母さんも一緒にコースの受講ができることになりました。でも、正直なことを言えば、金曜日の夜はとても不安でした。行動を開始して参加費集めをしている時は「きっと役に立つ」という思いは確かでしたが、いざ参加が決定してコース開始の日が迫ってくると、「どんな期待をもってコースに来るのだろう」「どういう風に彼の助けになるのだろうか」という気持ちも湧いてきました。このコースは、すべての人に対して同じ質問をし、同じワークをするという形式ではなく、一人ひとりに必要な学びが得られるようにデザインされているので、何が起こるかということは文字通り蓋を開けて見なければわからないからです。金曜日の夜が始まった時、私が言い出したことで多くの方を巻き込んで二人をこの場に連れてきたのはいいけれど、もし「期待はずれだった」ということにでもなったら・・・という不安が頭をよぎりました。

金曜の夜は基本的な概念の説明と、チームワーク作りの活動をして解散になりました。土曜日の朝、一人ひとりの「順番」を決め、それぞれの参加者が前に出て自分の抱えているチャレンジや、コースに来た理由を説明し、インストラクターの導きによって段階を追って必要な学びを掴み取っていきます。今回の参加者の特徴としては若い人が多く、16歳~21歳が4人もいたことでした。また他の参加者も、自分についてもっと知りたいという好奇心を最初から持っている人ばかりだったので、グループとして打ち解けるのも比較的早かったように思います(意外に思うかもしれませんが、このようなコースに来ても、自分に好奇心を持つところまでとても長い時間がかかる参加者もいます)。

一君の順番は土曜日の夜、その日の最後でした。昼前にお母さんの番が来て、彼もそこに少しだけ登場しましたが、その夜まで、他の参加者は彼の病気のことは知らされていませんでした。その日一日中、一君がとても穏やかで、楽しそうで、他の参加者とも普通に交流をしていたためもありますが、インストラクターが彼の病気の話をした時、私にはみんながはっと息を呑む音が聞こえたような気がしました。涙ぐんでいる人も何人もいました。二人のインストラクターは、彼に対して「人生にはいろいろなことがある。いいことも嫌なこともその中には混じっている。でも、いいことだけを体験して感じて、いい気持ちにだけなることは難しい。悲しみや辛さを感じないようにするということは、気持ちを感じる神経を麻痺させるようなもので、そうしていると、喜びや嬉しさも感じられなくなる。生きるっていうことは、それらすべてが詰まっているパッケージなのだから」ということを説明しました。また、悲しみや辛さを表現できるような仲間や友達を作ることも、自分自身の責任なのだということも。

その後、その場にいる全員に対して、「一君に対して『可哀想』という気持ちを持つことは、彼がこれから先の人生を力強く生きていく助けにはならない。憐れみではなく、彼に対する愛情や感謝の気持ちから、あなたが彼から何を学んだか伝えてください」という指示がありました。一人ずつ前に出て、彼の手をとったりハグしたりしながら、彼がその人に何を教えてくれたか、彼の笑顔がどんなに素晴らしいか、彼が難病を持ちながらもこの場にいることがどんなに勇気を与えてくれたか、自分もつらいのにお母さんの気持ちを気遣う優しさに感銘した・・・などということを伝えていきました。中でも私が驚いたのは、自分の周りに殻を作って閉じこもっていた青年が「一君の存在があったから自分はこんなに早く殻を破って出てくることができた」と言ったことでした。一見、何の接点もないように見えた二人でも、そんなことを感じ取っていたのか・・と思いました。周囲を見回してもみんながこのことに対して同じ感動を味わっていたことは明白でした。

このコースの素晴らしさはこんなところにもあるのです。一人ひとりは自分のそれぞれの理由から参加してくるのですが、来てみると自分の存在が誰かのインスピレーションになったり、他の参加者が抱えているチャレンジを乗り越える手助けを文字通りすることになります。その結果、今まで行き場のなかった思いや、整理をするツールを持たなかったために封じ込めていた気持ちなどを表現し、昇華させていくことができるのです。面白いもので、その過程で、その人のために役を演じたりして手助けしている人にとって、それが必要な学びや癒しになっている・・・あるいは、それを受け取るのに最適な人が選ばれていくのです。こうして見ず知らずの人とだってこんなに濃い心の交流ができるという経験をすると、現在自分を取り巻いている人間関係についても、一呼吸置いた新たな視点から考えることによって、新しい道が開けてきたり、愛情や感謝の気持ちを持つことができたりします。

全ての人の順番が終わり、それぞれが次にとるべきステップをインストラクターから受け取って、日曜日の夜7時半すぎにコースは終了しましたが、中々去りがたい気持ちでみんな話をしたりお別れを言ったりしていました。会場を出て三村ご夫妻のお宅に向かい、そこで一君の一家も交えて夕食をいただきながら、一君は興奮した様子でコースのことを話していました。彼のご両親も、「表情が違う」と驚いていました。実は、コースの最中は一君とじっくり話すことはなかったのですが、その夕食の席で、彼は「このコースに来られて本当によかった。これから病気と闘う強い気持ちになれた」「教会にもサポートグループがあるんだけど、このコースで感じたみんなの愛情がとても嬉しかった」「4月の次のコースに戻ってきてアシスタントをする。10代のためのコースのヘルプもして、って言われたから、それもやる」と、これからの抱負を力強く語ってくれました。インストラクターからの彼の次のステップには、”Life Loves You”という言葉も入っていました。「毎日、この言葉を実感できることを何かすること」という課題でした。

今回、私もまた多くの学びがありましたが、ひとつだけあげるとすれば「リスクを取ることを恐れない」ことだったと思います。自分が大切にしているものや、いいと思っていることを人に伝えたり、そのイベントに招待することにはリスクがあります。拒絶されたり、今までと違う目で見られてしまったり、また実際に体験してもらって必ず楽しんでもらえるとは限りません。でも、その人が気に入るかどうかまでを自分の問題として引き受けるのではなく、結果を恐れずに、自分がいいと思うことは人に伝えてみること。「この人によさそうなんだけど、どうかな」と思いながら、恐れを優先させて行動をとらなかったら、その結果自分が傷つくこともないかわりに、その人にとって役に立つ経験になるかもしれないというチャンスもなくなってしまうのですから。インストラクターに”Thank you for taking the chance and bringing these beautiful people” と言われた時、このリスクならとる価値がある、と心の底から思いました。これから先も何度も何度もこのリスクをとるだろう、と。

次回のThe Remembrance Course4月29日から5月1日です。参加費は大人$475、学生$425で、申し込みを受け付けています。コースについてのお問い合わせはメール(etsuko@mypeacefulfamily.com)にてご連絡ください。

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