相手を知ると自分も変わる

よくビジネスなどの交渉ごとの場面で「”Win-Win”を目指しなさい」と言われます。Win-Winとは、文字通り「私も勝ち、あなたも勝つ」という意味です。アメリカではSteven Coveyという人の書いた”Seven Habits of Highly Effective People”という有名な本(日本語では「7つの習慣」)で広く知られるようになった概念です。この「どちらかが勝ち、どちらかが負ける」のではなく両方にとってよい解決方法を考えよう、というのは、RCB親子コミュニケーションコースでも兄弟げんかや夫婦喧嘩などの際の解決方法として提唱しているツールです。実際、うちでも子供たちが喧嘩を始めると「どうしたら二人ともハッピーになれるか」という問いかけをしています。

最近、このWin-Winについてもう少し考える機会がありました。ある人と自分との間にどうやら意見の食い違いがあるようなのです。相手と話し合う前に、自分が現時点で考えられる妥協のポイントをあれこれ考え、検討している私を見て、夫から「”Win-Win”の最初のステップは相手を理解すること。それから自分を理解してもらうことだよ」という助言がありました。彼は今まさにこのSteven Coveyの本をオーディオブックで聴いている最中なので記憶も新しく、次のエピソードについても話してくれました。

Stevenは本の中で「子供たちが騒いでいるのをとめもせずにボーっとしている父親」について説明していました。最初は「なぜ注意しないのだ」と苦々しく思っていたが、ついに耐えかねて「子供たちを注意したほうがいいのでは」とその父親に話しかけたところ、その父親は「実は彼らの母親(自分の妻)が亡くなったばかりで・・どうやって子供たちに話せばいいのか検討もつかないのだ」ということを打ち明けてきたというのです。その話を聞くまではStevenにとって彼は「子供を注意しないダメな父親」でしたが、話を聞いた今となっては「ぼーっとしているのは無理もない、何かしてやれないだろうか」と、状況を理解し、その不運を思いやる対象となったのです。当然、その時点では「では自分は相手に何を望むか」も以前とはまったく違ってきます。

夫は続けて「相手の状況をまず理解したら、その時点で自分は変わっているかもしれない。だから相手の状況を先に聞いて理解した上で、それから考えればいいんじゃない」と言いました。私たちは得てして「XXは~と思っているのに違いない」という推測をもとにあれこれと考えをめぐらせますが、実際のところは聞いて見なければわかりません。相手の話を聞いて自分の理解が深まり、その結果相手に対する気持ちが少しでも変わってくれば、その時点で自分が相手に対して望むことが変わる可能性もあるでしょう。最初のステップはこれからですが、とりあえず思い悩む前にまずコミュニケーションをとり相手を理解すること。そこから考えても遅くないと思った出来事でした。

コメントを残す