「私とXXと、どっちが大事なの!?」

国際結婚の難しさというと、言葉や文化の違いが真っ先に思い浮かびます。ただ、私は著書「国際結婚一年生」でも書いたように、自分自身のクローンと結婚するのでない限り、相手が外国人でも同じ国の人でもそれは「異文化体験」だと考えています。国際結婚の場合はその「相手との違い」がより顕著で、わかりやすいというだけです。それに「この人がどんな人か、大体わかった」と思ったとしても、人間は時間とともに変わっていくもの。我が家も今年で結婚10周年になりましたが、いまだに「この人はこんな考え方をするのか」と驚かされることもあったりして、「違う人間同士が完全に理解しあう」ということはありえないのではとも感じます。

例えばカップルで喧嘩の種になりやすいことのひとつに「趣味(あるいは興味)」というものがあります。要は相手の趣味(興味)に自分は興味がない。興味がないだけでなく、相手の趣味が嫌いだった場合、そのために何度も話し合いをすることになるかもしれません。もしその趣味が極端にお金がかかったり時間をとられたりするものであればなおさらです。我が家の場合、二人の興味が分かれるところといえば、夫のアニメやSF好き+アプリ開発好き、スポーツだったらテニスをすること。そして私は自己啓発系の本やブログが好きで、パーソナル・ディベロップメントのコースに週末に出ること、そしてヨガや瞑想を習うことなど。でも今あげた事項の中で、結婚前にお互いにわかっていたことは夫のアニメやSFが好きということだけでした。その他のことはすべて、結婚後にした私たちが経験したさまざまなことによって湧いてきた興味、あるいは新たに始めた趣味だと言えます。

パートナーが何かに没頭して(しすぎて)、カップル間に亀裂が入るということもあるでしょう。そんなとき「私とXXとどっちが大事なの!」と選択を迫るような態度をとる人がいますが、長い目で見ればこのような態度はパートナーとの間を親密にする役にはあまりたちません(逆効果になることは多々あります)。そのときは相手は「反省」するかもしれないし「君だってXXにたくさんお金(時間)を使っているじゃないか」と逆ギレされるかもしれない。私自身、夫が最近はまっているライトノベルを暇さえあればスマートフォンで読んでいる姿を見るにつけ思わず何か言いたくなることがあるのですが、そこでいつも思い出すことがあります。よしもとばななの「キッチン」の続編に出てくる場面で、田辺という主役の一人の男性にふられたという女性が「田辺くんは女の子を万年筆とかと同じようにしか気に入ることができないのよ」と言い、それに対して主役の女性がつぶやくくだりです。いわく「私は雄一に恋してないので、よくわかる。彼にとっての万年筆と彼女にとってと、全然質や重みが違ったのだ。世の中には万年筆を死ぬほど愛している人だっているかもしれない。そこが、とっても悲しい。恋さえしてなければ、わかることなのだ。」

これを思い出すと、少し冷静になることができます。自分が特に興味のないことだからといって、あるいは相手の趣味が自分に注意を向けてくれない原因のように思えたとしても(多くの場合これが本当の原因であることはないのですが)、だからといって相手の趣味や興味を否定することは何も生み出しません。本当にその何かに意味を見出してこだわりをもっている人にしてみれば、それを否定されれば「相手は自分をわかってくれていない(信じていない、愛していない)」と思いたくなることでしょう。また、相手が何かを大事にすることが、自分を大事にしていないことになるという考え方は英語ではscarcity mentalityといいます。何かが「限られている(少ししかない)」という考え方です。この場合、相手が与えることのできる愛情は限られているという考え方に基づいて、趣味を大事にしている=自分を大事にしていないと思ってしまいがちになるのですが、これもすぐさまイコールではありません。

じゃあ相手の趣味を好きにならなければいけないのか?と言われれば、私はそんなことはないと考えています。前述のように、結婚前に相手についてすべてのことを知ったり理解したりするのは不可能ですし、自分も相手も結婚した後にどのように人間として成長し変わっていくかわかりません。ひとつ言えるとすれば「この人が選ぶ趣味(興味)なら、自分には興味が持てないことだとしても、まあ許容できるだろう」と思える人を選ぶということではないでしょうか。未来が予測出来ない中でむしろ大事なのは、趣味のために家計を破綻するほどお金を使ったり、家族をほったらかしにしてしまう人にはならないだろうという信頼感のような気がします。

先日こんな話をネットで見かけました。日本の梅雨で足が濡れるのが何より嫌という、靴をそれこそ死ぬほど愛している女性がいて、アメリカで乾いた気候の土地に限定して婚活を行い、パートナーを見つけたそうです。この記事の執筆者は「産まれたばかりの赤ちゃんを抱いた彼女から、ジミー・チュウやマノロ・ブラニクなどゴージャスな靴で埋め尽くされた天井までのシューズクローゼットを幸せそうに見せられた時は、こんな婚活もあるのかとびっくりした」と書いていました。「そんな物質主義的な」という声もあるかもしれませんが、個人的には結婚相手に求めることとがとても具体的で、自分がどうしたらハッピーになれるかを知っている人がとった選択だという気がします。これこそ自分の興味をトコトン追求するため、それを理解しサポートしてくれる人であることに優先順位を置いてパートナーを見つけたという例ではないでしょうか。たかが趣味、されど趣味。婚活中の方は、相手の現時点での年収を気にすることも大事でしょうが、その相手が結婚後どのように変わったとしても、まあほぼ大丈夫だろうという信頼感を持てるかどうかという点も考えてみるといいかもしれません。

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