Erinaさんへの手紙:パッション(Passion)

サンディエゴ在住のお友達、Erinaさんとの文通シリーズ第3回。今回は「パッション」というテーマで、Erinaさんからこちらのお手紙をいただきました。日本では結婚生活という文脈であまり語られることのないような気がするこのキーワード。お返事を書いてみました。

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fullえりなさん、

日本はもう初夏のような陽気です。春はどこへ行ってしまったの?という感じですが、梅雨になる前のいいお天気を楽しんでいます。

さて「パッション」がお題の記事を読ませていただきました!

火をおこすところの描写、なるほどな~と思いました。20代のときには恋愛は花火のようなものだなと思っていましたが、ぱーっと咲いて散ってしまう花火で終わらないように、そこからついた火をいかに絶やさずにいけるかというところが、一時の恋愛で終わるのか、よりコミットした関係へと発展していくのかの分かれ道なのでしょうね。

私の大好きな海外ドラマのひとつ、”The Good Wife”に、主人公のAliciaが弟のOwenと男女関係について語り合うシーンがあります。

“How do you make “love” outlast “passion”?” (パッションがなくなっても愛情を長続きさせるにはどうしたらいい?)と聞くOwenに対して,

I think it’s not just about the heart, Owen.
Sometimes the heart needs….steering.

と応えるシーンがありました。

Owenには「もっとかっこいいことを言うかと思ったのに」と一蹴されてしまうのですが、一理ある答えではないかなと思います。

Steeringというのはハンドルをまわして車を操作するイメージ。ハンドルを握っているのは自分で、それをあっちにもっていったりこっちにもっていったりすることで、思う方向に進めて行くのです。

恋愛初期のような感情はそのまま何もしないでいると消えるのが自然なもの。さらに無意識に日々を過ごしていると、いつのまにか愛情まで消えてしまうカップルのも多いというのが一般的な理解だし、その前提で上記のOwenの言葉があると考えられます。

実はpassionという言葉の語源はラテン語の「苦しむ」「耐える」を意味する言葉なのだそうです。思えば大学時代に所属していたバッハ合唱団で「マタイ受難曲」という大曲を歌ったことがありますが、これも英語の題はSt. Matthew Passionです。またpassionが「苦しむ」なら compassionは「ともに苦しむ」という意味で、同情する、哀れむなどの意に訳されたりします。

passionにはパートナーへの情熱的な思いというほかに「苦しんで耐えるほどの強い思い」という側面もあるとすると、新婚時代はとっくに過ぎて「いやうちはもうパッションなんて」というご夫婦にも関係がありそうに思えてきます。

愛情たっぷりでラブラブしている2人の間に情熱があるのはある意味普通のこと。少し時間がたって、お互いのいろいろな側面をひととおりわかった上でもまだその関係を良好に保って行くのは、それなりの意思とスキルが要求されます。実は毎日の瑣末なタスクをこなす忙しい生活の中で、それでも夫婦関係、家族関係を良好に保とうと努力している人は実はみんな passionateなのではないかな~という気がしてきます。

面白いことにpassionには「受け入れる」という意味もあるんですよね。我が家の場合は、この①情熱 ②苦難 ③受け入れる の三種類の定義の中をいったりきたりというような感じがありますが、全体としては良好なパートナーシップが機能していると思います。

でも②の苦難ではなく①の情熱を復活させたい!という方にヒントを書くとすると、”Remember who we used to be”というのが大事なのかな、と思います。出会ったころの自分たちがどんな人たちだったかを思い出す、ということですね。

結婚して何年もたって、特に子どもがいたりすると、デートし始めたころの自分たちがどんな感じだったのかというのはもう思い出せないくらい昔の話になってしまったりしますよね。そのときに2人が夢中だったことや一緒にやっていたことを、あえてまたやってみるという提案です。

私たち夫婦の場合は出会いがスウィングダンスで、今も続けている共通の趣味なので、やはり2人だけでダンスのイベントに行くときには昔の(結婚前の、あるいは子どもたちが生まれる前の)ふたりに戻るような感じがします。必ずしもダンスに行かなくても、二人だけで出かけるのは私たちにとってはやはり夫婦関係を良好に保つためにとても大事にしている習慣のひとつです。

特に共通の趣味はなかったのだけど・・・という方でも、結婚に至るまでの道のりで、ふたりで多くの時間を費やしたアクティビティが何かしらあるはず。子どもがいると、ベビーシッターを雇うとか周囲の理解を得るなどのハードルはいろいろとあると思いますが、これも結婚生活を少しでも楽しく、またラクに続けるための必要経費だと私は考えています。それだけの価値がある関係なのですから。

ということで、Erinaさん、次回のキーワードは investmentではいかがでしょうか?お返事お待ちしています!

(image by Josh Felise)

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