ドキュメンタリー映画「ハーフ」

先日、以前から気になっていたドキュメンタリー映画「ハーフ」の上映会が、友人の主宰しているThe Global FamiliesというNPO団体の主催で行われました。

日本人と外国人を両親にもつ子どもは、日本では「ハーフ」と呼ばれることが一般的です。映画の中でもこの呼び方についてのディスカッションがあり、「ハーフ」はあまりよいニュアンスがない、という意見や、この呼び方は日本だけのものという意見も紹介されていますが、実は英語でも自分のルーツを説明するときに”half”という言葉は使われます。ただ、英語では “I am half”とは言わず、”I am half Japanese, half American” など、必ずそのあとに「どの文化のルーツがあるのか」を指す言葉が入ります。

 映画では、在日韓国人の男性と結婚した日本人の母親から「韓国人とのハーフだということをほかの人に言ってはダメ」と言われ、悩み苦しんだ女性のストーリーがありました。どの国の出身だったとしても、また自分の親がどの国の生まれだったとしても、自分を構成するひとつの要素を完全に否定しなければならないのはつらいことです。実際に、この女性は15歳になるまでは自分がハーフであることを知らずに生きてきて、事実を知ったあとに、日本も韓国も嫌いになった時期があった・・・と語っていました。映画では、彼女が自分と同じように多様な人種的文化的背景をもつ人たちの集まりであるミックスルーツという活動にかかわることで、居場所を見出し、またふたつの文化を持つ自分を肯定できるようになるまでの様子が描かれています。現在は結婚して子どももいる彼女は、子どもには「あなたには複数のルーツがあって、本当にラッキーだね!って言い聞かせたい」と笑顔で語っていたのが印象的でした。

また、ガーナ人の母と日本人の父をもつデイビッドのストーリーは強いインパクトがありました。見るからに「普通の日本人」ではないために、初めて会う人には必ずと言っていいほど「なにじんですか?」と聞かれるシチュエーションがあり、周りの友人が「おまえは大変だなぁ」とコメントしたことがあるのですが、それに対して彼は「自分のことを説明するのは、全然いやじゃない。それで、少しでも多くの人が、こういう日本人もいる、と知ってもらえたら」という趣旨で、次の世代のために自己紹介をしているんだ、ということを言っていたのです。デイビッドは事情により兄弟と一緒に児童保護施設に入っていたりして、実に様々な葛藤を抱えながら生きてきたに違いないのに、そのオープンさ、優しさに心を打たれました。自分の母親の国であるガーナに行ったことがきっかけで「自分はやっぱり日本人だ」と再認識し、また「恵まれた立場にいる自分だからこそできる」と言ってガーナに学校を建てるプロジェクトをやっています。

映画では、新生児の49人にひとりが日本人と外国人の間に生まれている、と紹介されていました。我が家の子どもたちもこの統計に入っています。夫がアメリカ人なので、文化的には子どもたちは「日本人とアメリカ人のハーフ」。そして、普段意識することはほとんどありませんが、夫も「マレーシア人とインドネシア人のハーフ」なのでした。アメリカは移民の国で、ほとんどすべての人がいずれの時点かではどこかからアメリカに渡ってきている多文化・多民族国家です。育っていく過程で、まわりに多文化ファミリーがたくさんいるかどうかも、子どものアイデンティティ形成や自己肯定感に大きな影響を与えるでしょう。ハーフの子どもたちをもつ親として、彼らの出自についてどのように言葉かけをしたり、またそのことが原因で悩むようなことがあったときにどういう態度をとるべきなのかを考える機会にもなりました。多文化、多様性ということが身近な問題であるかどうかにかかわらず、これからの日本を生きる多くの人に観てもらいたい映画です。

11/20(金)中村綾花さんとのチャリティ・トークイベントのお知らせ

NnDHkyxLTFe7d5UZv9Bk_louvre11/20(金)の19:00-21:30に、都内で婚活、結婚、国際結婚、海外生活などをテーマにしたチャリティ・イベントを行います。日本での婚活に行き詰って世界に飛び出した経緯を『世界婚活』にまとめ、NHKのドキュメンタリー番組「2DOORS婚活世界旅」にも出演された、ラブ・ジャーナリストの中村綾花 (cakesで「パリジャン十色」連載中!)と私の対談というフォーマットで、参加者の皆さんと作っていくイベントです。

・婚活中の方
・既婚の方
・離婚したけどまた結婚したい方
・結婚したいかどうかわからない方

そんな皆さんの疑問・質問・・・
例えば
・「ぴったり来る人がいなくて結婚できない」
・「相手に求めてよい条件はいくつまで?」
・「結婚しているけどハッピーじゃない」
・「いつまでも夫婦ラブラブでいたい」
・「家事、育児に追われて夫婦関係がやばい・・」
・「そもそもなんで結婚しなければいけないの?」

などなど・・・
参加者の皆さんからの「愛」と「結婚」についてのあらゆるQuestionに私たちがお答え(する試みを)します。

結婚を希望する人がチームとしてちゃんと機能する相手とパートナーシップを築き、そして子どもに恵まれれば協力して子育てをして、「結婚っていいものだな」と思う次世代を育てるにはどうしたらよいか、という視点から「結婚」や「婚活」を考えてみたいと思います。

また、それと同時に、広い世界において「結婚」が持つ意味についても考える機会になっています。イベントの収益は全額、国際NGOプラン・ジャパンの行う “Because I am a girl”キャンペーンに寄付させていただきます。

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世界には、自由意志で結婚ができない人たちが大勢いるのだという現実を知り、今の日本で、結婚を強制されない自由の素晴らしさに気づく機会になればという願いも込められています。

未婚・既婚・性別・年齢を問わず、どなたでもご参加いただけます。

詳細・お申込みはこちらのページをご覧ください。

Erinaさんへの手紙:Relationship(リレーションシップ)

Erinaさんとの文通シリーズ、今回のお題は “Relationship”。Erinaさんからはこちらのお手紙をいただいていました。長らくお待たせしてしまいましたが、お返事を書いてみます。

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えりなさん、こんにちは。

日本はもうすっかり秋の気配で、こちらでもハロウィンの準備をしています。そうそう、先日は福山雅治さんが結婚したというニュースで賑わっていました。独身を通すのか?とも思われていたそうで、ショックを受けている人も多く、インパクトとしてはジョージ・クルーニーが結婚を発表したときのような感じなのかな?と想像しています。

Relationshipについてのお手紙を読みました。えりなさんがおっしゃるように、友達が悩みや愚痴を話してくれた時、その状況や友達の気持ちについて“I can relate”と言えるのは、自分も同じような経験があるか、もしくは想像できるからですよね。人と人とのつながりを示す素敵な言葉だと思います。

lighthouse結婚生活を続けるうちに、もともと他人だった人と家族になっていく過程がありますが、その際、結婚というrelationshipにいる人たちは多かれ少なかれ変わっていきます。例えば今の私は15年前に夫と出会った当時と全く同じ人間ではありません。端的な例を挙げると、夫と出会うまでは結婚しても「どうしても子どもが欲しい」とは思っていませんでした。でも夫のほうに子育てを経験したいという希望があったので、ではまず一人産んでみて、そのあとはそのときに考える・・・ということにしました。結婚前の私に誰かが「10年後には3人の男の子のママだよ」なんて教えてくれていても、そんなことあるはずないじゃないと思っていたことでしょう。

結婚生活では大体において一緒に暮らすことになるので、様々なrelationshipの中でもお互いに与え合う影響の度合いも濃いものと言えるでしょう。でも、そうでなくても、人は人から常に影響を受けて生きている動物だという気がします。実際に友達や同僚、知り合いといった、現実世界でお互いに知っている人同士はもちろん、例えば本やブログなどである人の書いた言葉に影響されることもあるでしょう。それは音楽や写真といったさまざまな形での芸術作品なども同様かもしれません。私はハリー・ポッターのシリーズが大好きなのですが、あの世界で生きるキャラクターたちの行動や言葉の数々に心を動かされたことも一度や二度ではありません。間違いなく私は「ハリー・ポッター・シリーズ」と親密な関係を築いています(笑)

既にこの世にはいなくても、その人が語ったり書き残したりした言葉が今に生きる人々の指針になっているという話はいくらでもあるでしょう。「神」という抽象的な概念さえそうです。夫と知り合った当初、敬虔なクリスチャンである夫の弟くんが、夫に対して “What is your relationship with God?と言っているのを聞いて、当時はキリスト教に触れることも新鮮だったこともあり、神様と個人的な関係があるかのような言い方をするんだなぁと驚いたのを覚えています。

英語で “Touch someone’s life”という言い方があります。亡くなった人について “He touched so many lives in a positive way”と言えば、「彼は多くの人にポジティブな影響を与えた」という意味になります。見知らぬ人の思いがけない親切にとても嬉しくなったという経験をすると、“His kindness touched me”と言ったりします。先日も夫と話していたのですが、夫と私には新婚当初サンディエゴで暮らし始めたときにお世話になっていたLarryというカウンセラーがいました。何かあって二人だけでは解決できないとき、いつも “We need Larry”と言ってアポイントメントをとって、二人で相談しにいっていたのです。そして結婚10年ほどたったある日、再び「Larryと話したほうがいいかな」という状況になってコンタクトを試みたところ、そのときに彼が病気で亡くなっていたことを知りました。新婚1年目こそ何回かセッションで会っていたものの、そのあとはその時までまったく連絡をせず・・・またそのときにLarryと話したいという状況が起こらなければ、きっと彼が亡くなったことも知らないままサンディエゴを去っていたでしょう。Larryはきっと本人も知らない間に、とても多くの人の人生に影響を与えていたに違いないと思います。私が今の仕事をしているのも、Larryとの出会いがあったことが少なからず影響しているのですから。

完全に自立して誰にも頼らず、一人で生きているかのように思っている人だって、誰かしら・何かしらとはrelationshipを結んでいる・・・それが人間の本質なのかもしれません。No Man Is an Island. 人間関係で悩んでいたり、孤独感にさいなまれたりしている人には、是非この言葉を思い出してもらえたらな・・・と思います。最後の部分を書きながら降ってきた次回のキーワードは”Happiness”.えりなさんのお手紙をお待ちしています!

(image by Joshua Hibbert)

Erinaさんへの手紙:Trust

Erinaさんとの文通シリーズ第6回のテーマは”Trust”でした。えりなさんからのお手紙はこちらです。
さっそくお返事を書いてみます。

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えりなさん、

日本はもう8月も半ばになろうとしています。子どもたちの夏休みもあっという間に残り2週間ちょっと。アメリカと比べるとやはり短いですね!

さて、Trustがテーマのお手紙を読みました。アラジンの映画のセリフはよい例ですね。あの場面、初めてこの映画を見た時には、「彼女にはアラジンを信頼するに足る理由があるのだろうか?」と感じたりもしましたが、それまでの短いふたりのやりとりをベースに「自分を信頼してくれ」というアラジンのリクエストに答えたジャスミン姫。意志を持った選択とはその通りだと思います。

サンディエゴで通っていた瞑想のクラスで、インストラクターの男性が “Trust means the ability to predict other’s behavior”ということを言っていました。『信頼する』とは、相手の行動を予測できるということ。このような定義を聞いたのは初めてで、とても印象に残っています。

photo-1431578500526-4d9613015464相手の行動を予測するためには、やはりその人について何かしら知っていなければなりません。その人のことを全く知らなければ、どんな場面でどんな行動をとるのか?という予測もたてられませんから。

結婚しても大丈夫な相手かどうかを見極めるために「多角的に相手を見る努力をすること」が必要だというのは、未来にわたって相手の行動を予測できるようになるための情報収集という意味合いもあるのです。

もちろん、円満な結婚生活を長く続けるにあたって、mutual trust(お互いへの信頼)は大事な要素のひとつでしょう。

例えば、

・パートナーが基本的には「いい人である」という信頼

・相手が浮気をしないという信頼

・簡単に離婚を口にしないという信頼

などなど。

また、結婚生活を続けていくうちにはどうしてもぶつかり合うこともあるのがふつうですが、そのときに大事なことは「相手は自分を陥れようとわざと意地悪をしているのではない」と信じること。

これは、子どもとバトルになったときもそうなのですが、腹が立っているときほど「自分を苦しめようとしての言動に違いない」と、パーソナルにとらえてしまうのが人間ですよね。

でも、深呼吸をする、時間を置くなど、ちょっと落ち着いてからよく考えてみれば、「この人はわざと私を傷つけることはしないはずだ」という、もともとあったはずの信頼感を取り戻すことができます。一見、自分への攻撃にも思える相手の言動も、相手は自分の言動が周囲にどういうインパクトを与えているのかに無頓着であるか、もしくは、わかっていてもそうせざるを得ない何らかの理由があるはずだ、と解釈する余裕が生まれます。

“Hurt people hurt people”というフレーズがあります。これは「傷ついている人は周囲の人を傷つける」という意味ですが、考えようによっては「相手は常にベストを尽くしている」という信頼を表したものとも言えるのかな?と思います。

例えば職場などでいつも人に意地悪をしたり、わざと気に障るような言動をとる人がいたとしても、その人には何かがあってそういう行動を選択していると思えば、「何が彼(彼女)をそうさせるのか」に興味がわいてくるかもしれません。

仮に、信じていたパートナーに浮気されるなどのことがあったときに、「信頼を裏切られた」という言い方をするのですが、より正確に言うならば

「あらゆる状況で相手の行動を予測できるくらい知っていると思っていたけど、そういう行動をとれる人だとは認識していなかった」

ということになるのでしょうか。

さらに言うと、浮気をされたことの怒りや悲しみという、当然起こるであろう感情の波が去ったあとに「あの人がこんな行動をとるなんて、何かよほどの理由があったに違いない」というところまで思い至るとしたら、それ自体が、「自分に都合の悪いことはしないよね」という表面的なところを超えた、より深い信頼を示すものと言えるのではないかな、とも感じます。

その認識をもとに、どういう選択をするかは人それぞれですが、浮気という出来事があった後に別れる夫婦と、真の意味でパートナーとして再生する夫婦の違いは、もしかするとこんなところにもあるのかもしれません。

このテーマ、もっと深めていきたいような気がしますが、いったん筆をおきます。えりなさん、次回のキーワードは “relationship”でいきましょう!お手紙お待ちしています。

Erinaさんへの手紙:コミュニケーション(Communication)

Erinaさんとの文通シリーズ第5回目。テーマはコミュニケーション(communication)です。Erinaさんはこちらのお手紙で、夫婦の間のコミュニケーションについて書いてくれました。早速お返事を書いてみます。

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えりなさん、

コミュニケーションをテーマにしたお手紙を読みました。

photo-1415200358018-bb07fced3660えりなさんのお母様の「あなたたち夫婦は、本当になんでもよく話し合うのね。」というコメント、私も同じように言われたことがあり、とても共感できました。私たち夫婦も会話の量はかなり多いほうかな?と感じています。コンピュータのエンジニアでもある夫は決してぺらぺらと口が立つわけではないのですが、気に入った話題や自分にこだわりがある事項になるとすごく情熱的に会話にも身が入るのです。これは皆さんそうなのかもしれませんが、お互いの意見が違う物事に対してはいっそうそうなりますね(笑)ちょっとした喧嘩から端を発した議論が深遠な話題にまで発展して、ずっとしゃべっていたら深夜になってしまったということもたまにあります。

私はこの4月から6月、国際結婚を目指して婚活をしている日本人女性を対象にしたグループ・コーチング・プログラムを行ったのですが、その中でもコミュニケーションは非常に大切なキーワードでした。プログラムの鍵となるトピックのひとつは「自分を知る」こと。就職活動でも婚活でもそうですが、自分についてどれだけ知っているか?というのは、ことの成否を分ける大きな要因だと思うのです。

そして、自分を知るために必要なのはやっぱり自分との対話。相手のいる対話と違って、自分との対話はともすると無意識的になりがちなのですが、恋愛・結婚ということであてはめてみると、例えば

・相手が自分に対してとった行動の中で嬉しかったこと・悲しかったこと

・自分の恋愛のパターン

・自分の気分の浮き沈み

などを記録し、分析することによって、自分のことが見えてくると思います。

また、異性に対する思い込みや、結婚観など、恋愛を成功させるためにわかっておきたいことも、自分に対する問いかけをして考えることから始まります。

自分を知るのは時にめんどくさかったり、しんどかったりする作業であることも確かです。誰でも「こうありたい」という理想の自分がいるのに対して、現実の自分は(自分の目から見た)欠点もあればいけてない部分もありますし、また思い出すのがつらい過去の出来事もあるでしょう。

でも自分とのコミュニケーションをせずに無意識に日々を過ごしていると、あっという間に時間がたってしまって、達成したいと漠然と思っていたことに近づいていないということにもなってしまいます。私ももちろん、ダラダラと時間を過ごしてしまって気がついたらあまり前に進んでいなかったという経験があります!

ただ、過去の成功体験や、物事がスムーズにいったときのことを考えてみると、自分のことが客観的に見えていて、やりたいことがはっきりしていたという共通点があるように思うのです。また思うように物事が運ばなかったときも、それはそれで学びの機会になります。そう考えると、人生で出会う出来事のすべてが自分との対話のチャンスになり得るのですよね。

例えば、次回だんなさんや身近な人と喧嘩になったとき、「なぜそうなったのか?」「自分はどうしたかったのか?」ということを問いかけてみることで、自分についてより深く理解できるきっかけになるかもしれません。

以前、「私、女性誌のキラキラ感を笑う気になれません、という話」という記事で、こんなことが書いてありました。

「夜寝る前に、3つのことを紙に書き出してみる。1つ目はその日の反省。2つ目はその日にあったうれしかったこと。3つ目は翌日の目標。この順番で書くのがポイントらしい。」自律神経を整える簡単な方法として紹介されていましたが、これはシンプルな手順ながら、自分と対話するとてもよい方法なのではないかな?と思います。

自分との対話を通じて、自分がハッピーだと感じるために何ができるのか?と常に考えていると、自分のセンサーの感度もあがってくるような気がします。意識的に毎日を過ごすことはどんな状況でもできることなので、是非トライしてみてください。

えりなさん、次回のキーワードはTrustでいかがでしょうか? またお手紙お待ちしています!

Erinaさんへの手紙:インベストメント(investment)

Erinaさんとの文通シリーズも4回目になりました。毎回テーマは二人で考えて、それについて書いていくのですが、今回のテーマはインベストメント(investment)。Erinaさんからこんなお手紙をいただきました。
結婚生活と「投資」の関係について、私も書いてみました。

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えりなさん、

日本は梅雨になりました。実は先日やっと「衣替え」なるものをしたのですが、これがなかなか大変で・・・考えてみればサンディエゴでは衣替えの必要があまりなかったんですよね。一年中だいたい同じ感じで、冬になっても重ね着すればokだったサンディエゴは本当にラクでした。えりなさんは北海道のご出身だったんですね!梅雨がないのは少し羨ましいかも。

dreamcatcherさて、Investmentについてのお手紙、ありがとうございました。

Investmentは「投資」という意味で、Erinaさんはこれには「時間」がとても大切な概念と書かれていましたが、本当にそのとおりですね。特に、貯蓄志向が高い日本と違って、アメリカでは、例えばローンなどの借金があるときにまとまった臨時収入が入っても、よりリターンの高い投資があれば、借金をまず返すのではなくてそちらに投資しようとするのも一般的な考え方ではないでしょうか。これもできるだけ時間を味方につけようというところから来る戦略ですよね。

Love relationshipに限らず、人間関係を良好に長続きさせようと思ったら、やはり生活の中からそのための時間を作り出す必要があります。メールをやりとりしたりFacebookなどのSNSでメッセージを送りあったりという日常の「つながりの確認」もありますし、それ以外に例えば友達に赤ちゃんが生まれたり、入院したりといった非日常の出来事の際に、お見舞いやお手伝いにいくという場合もあるでしょう。

最近、私はサンディエゴの友達から「近所の人に車をぶつけられ、相手が逃げ回っていて保険の情報などを教えてもらえないので落ち込んでいる…」とチャットで話しかけられました。Facebook上で事の顛末は読んでいたので「大変だったね。何があったか読んだよ」と返したら、彼女に「保険会社で働いている友達が警察に届けたほうがいいと言うのだけど、あなただったらどうする?」と聞かれたので「うん、届けると思う」と言ったら「よかった!”You are super nice so knowing that you would do that makes me feel much better.” (あなたはとても優しいから、あなたでもそうすると聞いて気持ちがラクになった)なんて言われました。アメリカで私もこのような経験を数回しているので、それに関してはniceじゃないよ~なんて冗談を言いながら、友達は話をしたことで気分が上向きになったようでした。

英語では “Thank you for being there for me”という言い方で友情に感謝を表すことがあります。物理的に目の前にいることができなくても、何かあれば話を聞いてもらえたり、「私だったらこうする」と助言をしてもらえると信頼している友達。親子や師弟関係など、ありとあらゆるrelationshipにも使われる言葉です。逆に “You are never there for me”と否定形で言われれば、頼りにならない、あてにできないという意味です。

“Being there”というのは、あらゆるrelationshipにおいてもっとも必要で、またもっとも意味のある投資なのではないかと思います。学生時代の多くの時間を一緒に過ごした仲間とは、しばらくブランクがあってもまた集まったときに一瞬で昔にもどり、楽しく時間を過ごすことができるのは、この学生時代に過ごした濃い時間の貯金があるからだといつも感じます。人によっては「このrelationshipにはもう一生分の投資をしたよ」ということもあるかもしれませんね。日本に12年ぶりに帰ってきて旧交をあたためる機会に出会うたびに、今でもつながっているご縁をとても貴重なものに感じています。

結婚生活について言うと、一緒に住んでいる夫婦であれば “Being there for each other”でしょう?と思うかもしれません。確かに一緒に同じ空間にいる時間を多く持つことはスタートでしょう。でも本当に “being there for each other”であるかどうか? その時間のクオリティはどうでしょうか?子どもたちがバタバタと走り回る中で食事の支度をしたり寝かしつけたりという日常のルーチンをこなすなかで、お互いが助け合うパートナー同士という認識で協力しているのか、あるいはお互いに腹を立てあっていたり、二人とも暇さえあればスマホやコンピュータをチェックしている感じなのかで大分違ってきます。

テレビやコンピュータやスマホなどのガジェットをおいて、お互い心行くまで会話をするという時間。私にとってはこの時間は結婚生活を良好に維持するために欠かせないinvestmentです。そして、ある程度うまくいっている結婚生活においては、そのリターンは即効で返ってくることも多いので、さらなる投資を続けるインセンティブにもなるのですよね。

010お互いの誕生日や結婚記念日などは、そもそもなぜこの人と結婚したのか?ということを思い出して、これから後の結婚生活へのコミットメントをあらたにしなおすよい機会です。私たちも先日、結婚記念日のお祝いで近所のフランス料理店に行き、ゆっくりと美味しいお食事を楽しみました。

この文通シリーズも次回で5回目。テーマは”Communication”です。えりなさん、お手紙お待ちしています!

Erinaさんへの手紙:パッション(Passion)

サンディエゴ在住のお友達、Erinaさんとの文通シリーズ第3回。今回は「パッション」というテーマで、Erinaさんからこちらのお手紙をいただきました。日本では結婚生活という文脈であまり語られることのないような気がするこのキーワード。お返事を書いてみました。

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fullえりなさん、

日本はもう初夏のような陽気です。春はどこへ行ってしまったの?という感じですが、梅雨になる前のいいお天気を楽しんでいます。

さて「パッション」がお題の記事を読ませていただきました!

火をおこすところの描写、なるほどな~と思いました。20代のときには恋愛は花火のようなものだなと思っていましたが、ぱーっと咲いて散ってしまう花火で終わらないように、そこからついた火をいかに絶やさずにいけるかというところが、一時の恋愛で終わるのか、よりコミットした関係へと発展していくのかの分かれ道なのでしょうね。

私の大好きな海外ドラマのひとつ、”The Good Wife”に、主人公のAliciaが弟のOwenと男女関係について語り合うシーンがあります。

“How do you make “love” outlast “passion”?” (パッションがなくなっても愛情を長続きさせるにはどうしたらいい?)と聞くOwenに対して,

I think it’s not just about the heart, Owen.
Sometimes the heart needs….steering.

と応えるシーンがありました。

Owenには「もっとかっこいいことを言うかと思ったのに」と一蹴されてしまうのですが、一理ある答えではないかなと思います。

Steeringというのはハンドルをまわして車を操作するイメージ。ハンドルを握っているのは自分で、それをあっちにもっていったりこっちにもっていったりすることで、思う方向に進めて行くのです。

恋愛初期のような感情はそのまま何もしないでいると消えるのが自然なもの。さらに無意識に日々を過ごしていると、いつのまにか愛情まで消えてしまうカップルのも多いというのが一般的な理解だし、その前提で上記のOwenの言葉があると考えられます。

実はpassionという言葉の語源はラテン語の「苦しむ」「耐える」を意味する言葉なのだそうです。思えば大学時代に所属していたバッハ合唱団で「マタイ受難曲」という大曲を歌ったことがありますが、これも英語の題はSt. Matthew Passionです。またpassionが「苦しむ」なら compassionは「ともに苦しむ」という意味で、同情する、哀れむなどの意に訳されたりします。

passionにはパートナーへの情熱的な思いというほかに「苦しんで耐えるほどの強い思い」という側面もあるとすると、新婚時代はとっくに過ぎて「いやうちはもうパッションなんて」というご夫婦にも関係がありそうに思えてきます。

愛情たっぷりでラブラブしている2人の間に情熱があるのはある意味普通のこと。少し時間がたって、お互いのいろいろな側面をひととおりわかった上でもまだその関係を良好に保って行くのは、それなりの意思とスキルが要求されます。実は毎日の瑣末なタスクをこなす忙しい生活の中で、それでも夫婦関係、家族関係を良好に保とうと努力している人は実はみんな passionateなのではないかな~という気がしてきます。

面白いことにpassionには「受け入れる」という意味もあるんですよね。我が家の場合は、この①情熱 ②苦難 ③受け入れる の三種類の定義の中をいったりきたりというような感じがありますが、全体としては良好なパートナーシップが機能していると思います。

でも②の苦難ではなく①の情熱を復活させたい!という方にヒントを書くとすると、”Remember who we used to be”というのが大事なのかな、と思います。出会ったころの自分たちがどんな人たちだったかを思い出す、ということですね。

結婚して何年もたって、特に子どもがいたりすると、デートし始めたころの自分たちがどんな感じだったのかというのはもう思い出せないくらい昔の話になってしまったりしますよね。そのときに2人が夢中だったことや一緒にやっていたことを、あえてまたやってみるという提案です。

私たち夫婦の場合は出会いがスウィングダンスで、今も続けている共通の趣味なので、やはり2人だけでダンスのイベントに行くときには昔の(結婚前の、あるいは子どもたちが生まれる前の)ふたりに戻るような感じがします。必ずしもダンスに行かなくても、二人だけで出かけるのは私たちにとってはやはり夫婦関係を良好に保つためにとても大事にしている習慣のひとつです。

特に共通の趣味はなかったのだけど・・・という方でも、結婚に至るまでの道のりで、ふたりで多くの時間を費やしたアクティビティが何かしらあるはず。子どもがいると、ベビーシッターを雇うとか周囲の理解を得るなどのハードルはいろいろとあると思いますが、これも結婚生活を少しでも楽しく、またラクに続けるための必要経費だと私は考えています。それだけの価値がある関係なのですから。

ということで、Erinaさん、次回のキーワードは investmentではいかがでしょうか?お返事お待ちしています!

(image by Josh Felise)

Erinaさんへの手紙:コミットメント(Commitment)

サンディエゴ在住のお友達、Erinaさんとの文通シリーズ第2回。「コミットメント(Commitment)」というテーマで、Erinaさんからこちらのお手紙をいただきました。「コミットメント」は日本ではカタカナ語としてまだあまり使われない言葉かもしれませんが、私にとってはとても重要な意味を持っています。お返事を書いて見ます。

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photo-1420393000485-4697383da9ecErinaさん、こんにちは。

世間はゴールデンウィーク真っ最中です。考えてみれば親になって初めて迎えるこの期間。親にとっては「休み」という感じでもないですが(笑)

そうそう、テニスは夫が高校時代にやっていたんです。けっこう強かったそうなのですが、長らくずっとお休みしていて…でも、子どもたちが生まれて数年後にあるきっかけで再開。とてもいいテニス仲間に恵まれて、彼らが毎年行うトーナメントでも2回も優勝していました。日本でもまたテニス仲間ができるといいのですが。

さて、今回のキーワードの「コミットメント(Commitment)」。Erinaさんの書かれていた例、とても納得がいきました。そう、コミットメントって何もrelationshipだけに使う言葉ではないのですよね。

うまい日本語がないかな~と探していて思いついたのが、漫画「スラムダンク」の一コマです(兄が大好きだったので家にコミックがあって私もはまりました)。

名言が多いこの漫画ですが、湘北高校のバスケチームを率いる安西先生が、神奈川県インターハイの予選決勝リーグで対戦する相手を前に言った言葉は、「もはや何が起きようと揺らぐことのない、断固たる決意が必要なんだ!」でした。

d0080549_10353760漫画の主人公である桜木花道も、試合が始まって戦っているうちにこの「ダンコたる決意」なるものを理解していくのですが、これこそ「コミットメント」だと思います。「約束」とか「目標」よりも強い、万難を排して、あるいは石にかじりついてでも踏みとどまって頑張りぬくという…「決意」ですよね。

Erinaさんがアメリカに留学して「良い成績をとる」ことを決意した時、他のことをいっとき後回しにしてでもその目標を達成することにコミットしたのです。

結婚という道を選ぶパートナーには、この点についての共通理解をぜひ求めたいところだなぁと思います。その共通理解がない相手とは、喧嘩のたびに「離婚だ!」と言い合うことにもなりかねません。しかも、この場合に持ち出される「離婚」という言葉は往々にして、相手を脅し、動揺させ、コントロールする目的で発せられるもの。発したその言葉を全うしようと言う意思…それこそ、その言葉に対するコミットメントもきっとないことが多いでしょう。

以前にもこちらに書いていますが、私は離婚が必ずしも悪いとは思っていません。相手が暴力的だったり、自分が失われてしまうような思いをしながら続けるべきものではないでしょう。でも、そうではなくただなんとなく心が離れてしまった…とか、もうトキメキがないから愛していないのかも、ということで関係をあきらめてしまおうか、という場合には、そこでもう一度「それでいいのか?」と思いとどまってほしいです。

この「コミットメント」を説明するとき、私がいつも引き合いに出す映画があります。”Fireproof”というタイトルで、結婚何年目かで気持ちがすれ違ってしまった夫婦の危機と再生を描いたものです。脚本や演技がとてもベタなところがあったり、随所にキリスト教の言及があって抵抗がある人もいるかもしれませんが、夫婦とは?結婚とは?ということを考える上ではとてもいい教材だと思います。

映画のテーマソング”Love is not a fight”の冒頭にもこんな箇所があります。

Love is not a place to come and go as we please
It’s a house we enter in, then commit to never leave

(「愛」とは好きなときに出たり入ったりするのではなく、一度入ったらもう二度と出て行かないと決意する「家」なのだ…)

最終的に結婚生活がうまくいったのかどうか?は結果でしかありませんが、少なくとも、そのくらいの覚悟をもって始めるべきものなのかな、と感じます。

最後にもうひとつ。

アメリカ人も大好きな自己啓発の言葉のひとつに

If you are interested, you’ll do what’s convenient.
If you are committed, you’ll do what it takes.

というものがあります。

自分がやりたいことや目標とすることに対して、ただ単に「興味がある」程度だったら、目標達成のために都合のよいことは行うだろう。でもコミットしたことに対してなら、どんなことでもやるはずだ、という意味合いです。“Do what it takes” は「どんなことでも(行う)」と言う英語的な表現ですね。

Are you interested?

Or are you committed?

断固たる決意をもって成し遂げよう!と思える目標をもつことは、時に人生をハードなものにするかもしれませんが、その経験はまた人生を豊かにしてくれるのではないかと思います。

次回のキーワードは、コミットメントとも通じる「パッション」です。Erinaさん、楽しみにしています!

Erinaさんへの手紙:パートナーシップ

私がサンディエゴで知り合った日本人の女性は、みんなそれぞれに生き生きとした人生をおくっています。ご縁をいただいてお友達になったそんな彼女たちと、仕事や子育ての合間を縫って交流を深めてきました。

そんな女性のおひとりがErinaさん。Erinaさんは日本で高校を卒業した後、留学生として13年前に渡米しました。アメリカで大学を卒業し、アメリカ人の旦那さんと結婚。二人のお子さんの母親として、日本人妻として、働く女性として、アメリカに住む日本人女性をブログなどを通じて応援しています。また、日本人・日系人コミュニティにとって役に立つ情報を発信していくJapanese Family Support Centerの主宰者のお一人でもあります。

確かErinaさんと最初に会話をしたのは私がハワイに住んでいたときのスカイプ越しでした。その後、サンディエゴに帰って数ヵ月後に、以前からやりたいと思っていたポッドキャスト番組の作成について背中を押してくれたばかりか、第一回目のゲストにもなってくれました。

そんなErinaさんと、日本に発つ前に一緒にご飯を食べたとき、「結婚」をテーマに話し合うという素敵な提案をしていただきました。Erinaさんは新しく始められた In Nadeshiko Wayというブログで、そして私はこのブログを使って、文通という形で意見交換をしていきます。

初回のキーワードはパートナーシップErinaさんからのお手紙はこちらでお読みいただけます。
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015Erinaさん、こんにちは。

サンディエゴを離れてもう半年が経ってしまったなんて、何だか信じられない気持ちです。お蔭様で子どもたちもそれぞれ小学校と保育園になじんで、お友達もできました。横浜に引っ越したのは寒さも厳しくなる12月でしたが、最初の冬を乗り越え、過ごしやすくなってきた日本で楽しく生活しています。

サンディエゴが懐かしくなることは多々あります。何と言っても12年も住んだのですから、もうひとつの故郷ですよね。そんな場所を持つことができるのもとても贅沢なことで嬉しいのだけど、青い海と空の美しさや、子どもたちが自転車でぐるぐる走り回れる安全な場所が懐かしいなぁ。リバティ・ステーションは家から最も近い大きな公園で、アクティブな男の子たちのいる我が家にとっては庭みたいな存在だったので、Facebookで広大な芝生のエリアの写真を見るたびに帰りたくなったり(笑)でも日本にもずっといるわけではないので、ここでの生活をしっかり味わおう!と決めています。

さて、パートナーシップについて。

私と夫は2002年の5月に結婚したので、今年の5月で13周年を迎えます。最初の子どもが生まれる2006年までは二人だけの結婚生活でした。

もちろん、普通のカップルが通るような山や谷もたくさんありました。特に、私の場合は日本で彼と出会い、それまでのキャリアを一旦リセットする覚悟でアメリカに移住してきたこともあり、最初の数年間は、新しい生活に慣れるのと同時に「私は何者なのか」というアイデンティティ・クライシスも経験しました。

それまでにもアメリカには大学院留学で2年近く住んだことはあったのですが、結婚という形で、夫の妻であるということ以外に誰も私を知る人のいないところに行き、ゼロから人間関係やキャリアを構築していくというのはけっこうしんどい作業でもありました。

思うような仕事が見つからず、フラストレーションがたまって夫にやつあたりすることもあったし、経済的にもほぼ全面的に夫に頼っている状態。その頃の私はまだ「パートナーシップ」という言葉について意識するようなこともなかったでしょう。

夫は最初から “Happy Wife, Happy Life”という考え方を持っている人でした。妻がハッピーなら幸せな生活ができるということで、韻を踏んでいてキャッチーなフレーズですよね。初めて彼がそう言ったのを聞いたときにはなんて気の利いたことを言うのだろうとちょっとした感動を覚えたものです(笑)当然、逆も真なりなんですが、事あるごとに言ってくれるのは嬉しかったですね。

その彼の考え方のおかげもあって、最初の山であった結婚・移住後の数年間をなんとか乗り切り、満足のいく仕事が見つかって働き始めたのと同時に長男を授かりました。

国際結婚をして、自分の国を離れて相手の国に行く人にはそれなりの覚悟が必要ということは、一般的に受け入れられやすい考え方ではないかと思います。

でも、実は「来てもらう」立場のほうにも、同じくらいか、それ以上の覚悟がいるのかな?ということを最近考えます。私たちの場合は、最初の12年は夫の国で暮らしました。新天地で親しい家族や友人たちのコミュニティから離れ、キャリアを模索し、葛藤する私を見守りサポートする立場だった夫にも、何もストレスや苦労がなかったはずはありません。

そして今度は私の国で暮らすという経験をしています。夫にとっては2度目の日本滞在なので、日本生活に対するカルチャーショックは前回よりは少ないですし、幸いにも古巣での仕事を見つけて来ることができたので、私が経験したようなアイデンティティ・クライシスはないような感じがします。

でもサンディエゴでは車で10分だった通勤は、電車で片道1時間近く。もちろん家族やサンディエゴで親しくしていたテニス仲間からも遠く離れ、小学生の子どもたちに既に追い抜かされてしまった日本語力で、生活に不自由を感じている部分もあります。運転するにも道は狭いし、冬は寒くて夏は蒸し暑い…など、探せば小さな不満はいろいろあるでしょう。

今、逆の立場になってみて、毎朝早く家を出て、仕事を追えて帰宅する夫に対して感じるのはやはり感謝の気持ちです。そして、私が結婚当初アメリカに移住し、焦りを感じて過ごした最初の数年の間も、夫は「自分の国に来てくれた」ことに対して感謝の気持ちをもっていたから、私からの八つ当たりもおおらかに受け止めてくれ、サポートしてくれていたのかな、と想像したりしています。

夫婦のパートナーシップというのは、「一緒に人生をシェアしていこうと決めたのだから、何があっても二人で figure out(=解決策をひねり出す)して頑張っていこう」という意思のことだと思うのです。

お互いにやりたいことが違うことだってあるのはもちろん、そもそも赤の他人なのですから「価値観が全て一緒」なんてあり得ないと思います。日本人同士の結婚だってそれは同じですよね。

その違いをどうするのか? 違いすぎるといって共同生活をあきらめるのか? それともなんとか折り合いをつけて、どちらも reasonableにハッピーになれるような解決策を見つけようとするのか?

私たちの間でも、「自分の幸せは自分で作り出す」というのを基本にしつつも、相手の幸せにも興味をもち、夫婦というチーム全体で生活の満足度が上がるように努力しよう、という点で意見が一致しているので、それぞれ大切にしていることが違っても尊重しあうように心がけています。

「パートナーシップってこういうものだよね」という点で意見が一致している二人だったら、Erinaさんの言われたように「話し合いをやめる」という選択肢はもともとないものなのかもしれません。

なんだか長くなってしまったので、ひとまず筆を置きます。次回のキーワードは「コミットメント」でいきましょう!楽しみしていますね。

「恋は奇跡。愛は意思。」

lumine「東大なんて行ったら結婚できなくなるかもしれないよ」

これは私が大学を決める時にある人から言われた言葉です。その時は「別にそうなったらそうなったでいいけど…」なんて思うほど結婚願望がなかった私が(当時18歳だったので無理もないですが)、結婚に悩む人をサポートするお仕事をすることになるとは、人生とはわからないものです。

私は社会人何年目かの時に、スウィングダンスというカップルダンスに夢中になりました。そしてそのダンスを通じて出会った人と交際をはじめ、その彼と結婚することにしました。彼は横須賀基地で海軍に勤務していたアメリカ人。私は国連の仕事でドイツから日本の事務所に駐在になって日本で働いていたときのことでした。

当初私の両親は反対しましたし、彼の家族にも反対されました。国連時代の友達にも「アメリカの軍人と結婚して仕事を辞めるなんてEtsukoは大丈夫なのか」と心配されました。でも私の中では答えは明確でした。これから毎日の生活をともにし、一緒にご飯を食べて眠る相手を選ぶという極めて基本的で個人的かつ重要なことを、なぜ自分の意思で決めてはいけないのか?という思いでいっぱいでしたし、時間が経てば、また彼を知ればわかってくれるという確信もありました。そのために周囲の反対を「押し切って」という意識すらなかったように思います。私が大学時代からの夢だった国連の仕事をしていたことから、辞めるのはもったいないということを言って下さる人もいました。でも私は私なりのコンパスに従って彼を選びました。仕事を辞めてもアメリカでまた何か見つかるだろう、と思っていた部分もありました。

私たちは普通の結婚式はしませんでした。ふたりの結婚式に対する考え方が大きく違っていたことが原因で喧嘩になり、横須賀基地で日本人のカウンセラーからカウンセリングを受けていろいろ話しあったのです。その結果、ふたりだけで出会った阿佐ヶ谷の路上で一曲踊ったあとに誓いの言葉を交換することにしました。ドレスも指輪も何もない、ジミ婚とすらよべないものでしたが、ふたりの出会いを再現して初心に戻れるようなセレモニーでした。その後、祝ってくれる友達とともに六本木のスウィングダンスが踊れるバーで結婚記念パーティを行いました。

そして結婚しアメリカに行き、私は思うような仕事が見つからずにアイデンティティ・クライシスに陥ったり、流産を経験したりして3年が過ぎました。その後ようやくキャリア面でも待遇面でも満足のいく仕事が見つかり働き始めた途端に妊娠し、長男を出産しました。今では3人の男の子を一緒に育てています。結婚当初の予定を大幅に過ぎましたが、去年の秋に12年のサンディエゴ生活をひとまず追えて、一家で日本に移住しました。

私が結婚した彼は本当に素晴らしい人です。過去13年の結婚生活の間には山も谷もありましたし、振り返ってみると「あれは危機だったんだな」と思える暗い時代もありました。でも今、朝起きて隣にいる彼が視界に入るとき、この人と出会うことができたのは人生最大の幸運だったと(大げさではなく)毎日のように感じています。

国際結婚の離婚率は7割近くという厚生労働省の統計がありますが、周囲で見聞きする感じではもっと高いような感覚もあります。この点については、どんなカップルが身近にいるかによって、その感覚的な数字は上下するでしょう。いずれにしても日本人同士の結婚よりは難しい印象のある国際結婚。そもそも相手の国籍に関わらず、結婚すること自体が離婚するリスクをともなう行為なのに、結婚生活がうまくいくように結婚前あるいは結婚してからいろいろ対策を練るという人(カップル)はどのくらいいるのでしょうか。よくどちらかの浮気が離婚の理由に挙がることがありますが、浮気はもっと根が深い問題の表れ方のひとつに過ぎないという考え方もあります。本当は実際に浮気が起こるもっとずっと前からその問題の種はまかれているのではないかと思います。多くの場合は誰も気がつかないうちに。

こう書いたからといって、私は離婚を「絶対に避けるべきもの」と考えているわけではありません。人にはそれぞれたどるべき道があります。その道を進むことで初めてわかることや出会う人がいるでしょうし、何より本人が納得して選び取った道である以上、周りがとやかく言う筋ではないように思います。誰と結婚するかが(少なくとも日本においては)自由であるように、離婚することも私たちに与えられた自由な選択肢のひとつです。離婚することでよりよい新しい人生に踏み出せる人も大勢います。

ただ、私が国際結婚コンサルタントになり、著書「国際結婚一年生」を出版してから、「事前にこのことを知っていたら結婚しなかったかもしれない」という言葉を耳にすることが多々あり、そうであれば、その部分について私に何かできるかもしれない、という思いがあるのです。あるいは、「この人と結婚してもいいのかどうか」「結婚生活をこのまま続けてもいいのかどうか」「こんな些細なことで喧嘩になるのは二人の相性が合わないからなのか」「こんなことを言われた・されたが、我慢しなければいけないのだろうか」というご相談を受けるたび、結婚の成否は単に「離婚しないこと」ではなく、双方がもっと満足のいく結婚生活を営むことであり、そのために個人・あるいはカップルでできることについてもっと知ってもらいたいという気持ちがあるのです。

3月14日(土)に恵比寿で行う国際結婚のセミナーでは、これから結婚相手を選ぶことができる幸運な方に、結婚するべき相手のタイプをどのように見分けるかをお伝えします。また、満足のいく結婚生活を長期間にわたって続けられるよう、結婚相手の候補者を観察するにあたって外せないポイントについてもお話しします。出会いの場がないと悩む方には、セミナー終了後からすぐに実行に移せるアクションプランを持ち帰っていただきます。このセミナーはメイク&ファッションコンサルタントのノナカキョウコさんとのコラボ企画でもあり、外見の魅力を最大限に表現できるように個別のアドバイスもいただけます。またセミナーに参加される皆さんには、どんなことでもご質問いただき、真摯にお答えしていこうと思っています。

記事タイトルの「恋は奇跡。愛は意思。」とは現在のルミネの広告コピーですが、確かに私が彼と出会ったのは年末ジャンボ宝くじに当選するくらい貴重なことでした。その一方で、結婚13年目の今でも夫婦ともに結婚生活に満足しているのは「完璧な人と結婚したから」では(お互いに)決してなく、ふたりともが意思を持ってお互いを人生のパートナーとして選び続けているからです。満足のいく結婚生活を送るために必要なことは「我慢」や「妥協」ばかりではなく、ふたりが一緒に描くビジョンであり、結婚というリレーションシップに対する投資です。自分の持てる全てをかけて一生もののパートナーシップを築こうと思える相手と出会い、結婚式でなく結婚生活の準備をしたい方、3月14日(土)午後に恵比寿でお会いしましょう。セミナーの詳細・お申し込みはこちらをご覧下さい。皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

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