サイモン・シネックのメッセージ

先日の「優れたリーダーは『なぜ』から始める」で書いた会議がサンディエゴで行われました。”Start with Why”の著者であるサイモン・シネックは100分にわたり、基調講演と質疑応答を行いました。自分自身は子どももいないし、家族もいないので、主に子どもを育てる手法や環境がテーマのこの会議に招かれたことは光栄でした・・という言葉からスピーチを始めたサイモンは、『なぜ』から始めることがどうして大切なのか、そして自分の信じることを信じる人々を見つけること、そういった人たちから成るコミュニティを創ることの大切さを情熱的に語っていました。

特に秀逸だったのが質疑応答です。実際にどのように人々の「なぜ」を見つける手助けをするのか、参加者をモデルにしてやって見せたり、オバマ大統領が2年前にはあれだけの大差で選ばれながら、数日前にあった選挙ではなぜあのような結果になったのかという彼なりの結論(現在は「なぜ」でなく「何を」に焦点をあててしまっているから)を説明していました。実際に自分なら国民健康保険の法案を通すためのスピーチをどのように始めたか、ということを、「なぜ」から始める形で実際にデモンストレーションしたのです。これには会場から感嘆のため息がもれたほどでした。

この機会に、サイモン自身の「なぜ」について話してくれるよう頼んだところ、快く応じてくれました。97%もの人が今やっている仕事から満足感を得られていないという数字について言及した上で、サイモンは、自分の話で人々をインスパイアすることによって、もっと多くの人が自分のやっていることをただ単に「好き」なだけでなく、「情熱をもって」できるような世の中にしたい、そのために組織にもっと働きかけたいと話しています。サイモンのスピーチの後にも、ペアレンティングのスキルを学べるワークショップがあり、とても刺激になった一日でした。

優れたリーダーは「なぜ」から始める

TEDTalkでの“Start with Why”というスピーチで有名なサイモン・シネックが、サンディエゴ大学で11月6日(土)に行われる“It Takes A Village to Create Change”という会議で基調講演をします。

このスピーチの中で、サイモンは「なぜ」何かをするか、ということが最も大切だ、と述べています。

世界で成功している会社や、人を動かす力のあるリーダーは「Why(なぜ)」→「How(どのように)」→「What(何を)」という順番で考え、またその順番で対話をしている・・・と。それが効果的な理由は、人は「何を」でなく「なぜ」に動かされるからです。

サービスや商品を売るにしても、チャリティなどの活動に賛同してほしいと思っていても、やることは同じです。“Find people who believe what you believe” - つまり、「自分が信じていることを信じている人を見つけること」。そのためには、自分が「なぜ」何かをするのかを知っていることと、それを人に説明できることが非常に重要になります。サイモン・シネックは、この点をアップルコンピュータ、ライト兄弟、マーチン・ルーサー・キング牧師などの例を使って説明していきます。

(日本語の字幕つきで見たい方は、こちらをクリックしてください)

このサイモン・シネックのスピーチを生で聴くことができる”It Takes A Village to Create Change” 会議。また、彼の基調講演の後には様々なトピックのワークショップが行われます。サンディエゴにお住まいの方、是非ご参加ください!

“The Remembrance Course”について

私が教えている「RCB親子コミュニケーションコース」のインストラクターになるために受講したコースのひとつに、「The Remembrance Course」というものがあります。1年に数回行われるこのコースでは、幼少期の体験から形成される人生観を見直すことができます。親がどんなに愛情を持って子どもに出来る限りのことをしたり、兄弟同士を比べないように・・・などと気をつけていても、子どもがどのような体験からどんな結論を導き出すのか、そこまでコントロールすることは不可能です。また、同じ出来事を同じように体験しても、兄弟がまったく違った感想を持つということもあるでしょう。親子でなくても、良かれと思って相手にしたことが、思っていない解釈をされてしまった・・ということは、誰にでもある経験ではないでしょうか。

そこで、人生のあるタイミングで自分と向き合い、人間関係やキャリア形成などの面で鍵となるセルフ・エスティーム(自己肯定感)を高めることは、その後の人生においてポジティブな影響を及ぼすことになります。この「The Remembrance Course」はそのひとつの機会です。今年の8月に行われたコースに、高校を卒業されたばかりの18歳のお嬢さんを参加させたご両親がインタビューに応じてくださいました。

次回のサンディエゴでのコースは11月に行われます。コースは全て英語で行われますが、日本語での通訳など万全のサポート体制があります。ご興味をお持ちの方、もっと詳しく知りたい方は、是非メールにてご連絡ください。

母親の苦悩

何回かにわたって古荘先生の著書「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」について書いています。この本のタイトルは「子ども」となっていますが、実は今子育てをしている世代の大人にも自尊感情が低い人がたくさんいるように思います。

sad-girl先日、ツイッターのつぶやきで「ジュースをこぼした子どもに腹を立てて『あんたそれでも人間なの。何度言ったらわかるのよ』」という言い方をしていたある母親について、「おっかない」「そんな母親の元に生まれなくてよかった」という感想をつぶやいている人がいました。実際にその場面を見たわけではありませんが、ツイッターに書き込んだ人はその母親の言い方や顔から、子どもに対する愛情が感じられずこわいなーと思ったためそのようなつぶやきをされたのでしょう。でも、私がそのつぶやきを見て思ったことは、「何がその母親をそこまで追い詰めているのか」ということです。小さなお子さんをお持ちの方なら、「何回言ったらわかるの」と思ったことは一度や二度ではないはずです。それが、ジュースをこぼすならともかく、たたく、蹴る、おもちゃを投げる、車が往来する駐車場を勝手に走り回るなど、こちらも痛い思いや怖い思いをしながら、大声をあげても聞かない、もう打つ手がないような無力感で、きつい言葉や言い方をしてしまうことは、人間には誰でもあります。

このつぶやきからは、周囲の助けもなく、孤独感を抱えながら一人で子どもをコントロールしようと必死になっている母親の姿を感じました。多分、日常生活の中で自分が本当に満足したと感じられる場面があまりないのではないでしょうか。そういう状況が長く続いていると、たとえ幼少時代の深い傷などがないとしても、自己肯定感は低くなり、まだまだ未熟で学ぶべきことがたくさんあり、私たちにそのサバイバルのすべてを委ねている子どもに対して、忍耐力を持って優しく接し続けることは不可能に近くなります。自尊感情が低い人は周囲に対しても非常に批判的になりがちです。もし、人間関係で、いつも同じ人がきつい言葉や態度で接してきて傷ついている・・と言う方は、「何がその人をそうさせているのか」と考えてみてください。その裏には自尊感情の低さが必ずあるはずです。

最近「RCB親子コミュニケーションコース」を受講された方が、感想として「これでいいんだと楽になった」そして「今まで以上に子どもがもっと大好きになり、大切に育てたいと思った」と書いてくださいました。子どもの自尊感情を高めるためのひとつの方法は、やはり子どもに「こうなってほしい」という大人の姿を見せること、つまり自分の自尊感情にも意識することです。その方は、子どもが今まで以上に好きで大切と思える自分のことも、より好きになったと確信しています。

*次回「RCB親子コミュニケーションコース」は電話コースが8月4日(水)から、スカイプコースが8月13日(金)からはじまります。スカイプコースは日本時間では土曜日の午後1時からです。

KY(空気が読めない)という言葉に示されたゆとりのなさ

古荘先生の著書「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」の中に、上記タイトルの箇所があります。全体で2ページにも満たない部分ですが、この本の中で非常に大切な部分だと感じました。

kids私はアメリカに8年暮らしており、アメリカで子育てもしています。サンディエゴの補習学校で4年間働いており、毎年たくさんのお子さんが日本から駐在など家族の転勤でやってきて、またアメリカで数年生活した後で日本に帰っていきます。日本からアメリカに来ることも大きな変化ですが、アメリカの生活に慣れた子供達が日本に帰ることも、同様に、あるいはそれ以上に大きな変化です。中には、日本人の両親を持ちながらもアメリカで生まれ育っていたり、また国際結婚のご家庭で日本に行くことになるケースもあり、日本は「外国」という人もいます。

おそらく日本に帰って学校に通う際、最も苦労するのはこの「KY(空気が読めない)」という言葉に表れる発想ではないでしょうか。古荘先生はこう書いています。「本音を出したり、あるいは融通が利かないと、『KY』のレッテルを貼られてしまう。無視、仲間はずれといういじめの対象になってしまうこともある。子どもたちの中でも疑心暗鬼になり、常に周囲の機嫌を伺うことを余儀なくされる」また、「『KY』は『空気』という言葉で、自分だけではなく多数の意見だと表現して、より強力かつ巧みに一人を追い込んでいく、実に不気味で悪質な表現である」と。

大人として人付きあいを上手くやっていくためには、自分の思ったことを何でも口にするべきではなく、周囲の気持ちを考えることもできなければなりません。これは、日本だろうがアメリカだろうが同じことです。でも、そういった計算なく『今』に生きて、思いついたことを言ったりしたりするのが子どもらしさです。人の気持ちを推し量ったり会話をしたりというソーシャル・スキルが未熟な子どもには、それなりの愛情をもったケアが必要なのであり、相手の発言に問題があると思えば、正面きって「あなたの言っていることは間違っている(あるいは他の人を傷つける)、自分はこう思う」と指摘するだけの勇気も必要でしょう。それをせずに、「空気が読めない」=「(自分も含め)みんながそう思っている」という言い方をするのはある意味卑怯なことではないでしょうか。子どもを育てる立場にある親や教師がこの言葉を使うことによって、言われた子どもはどう感じるでしょうか。子どもによっては、「もう発言しないぞ」と思うのではないでしょうか。もし子どもが、大人の目から見て「空気が読めないな、この子は」と感じるなら、何がそうさせているのかにも好奇心をもって欲しいと思います。「空気が読めてないよ」と指摘することだけでは解決しないことは明らかでしょう。

*RCB親子コミュニケーションコースがスカイプで受けられるようになりました。初回は日本時間の7月3日(土)朝8時からになります。詳細はこちらをご覧下さい。

やる気を出す方法?

「やりはじめないと、やる気は出ません。脳の「側坐核」が活動するとやる気が出るのですが、側坐核は、何かをやりはじめないと活動しないので。」 池谷祐二

みなと学園を辞めてから、日本に行ったりセントルイスに行ったりしていましたが、先週の火曜からまたサンディエゴ_1_1に戻ってきました。これからは自分のペースで仕事も他のこともできると考えていましたが、一週間過ごしてみて、思ったよりも仕事にかける時間が取れていないことを実感しました。振り返ってみると「やり始める」までに随分時間がかかっていたことも・・・そんな時、上記の言葉が目に入りました。

子育ての場面を考えてみても、お子さんに「宿題やったの?」と聞いて「今からやるとこだよ!もう、やる気なくなるなあ」なんていうやりとりをした方も多いのではないでしょうか。確かに、私も子どもに「片付けしてよ」と言っても、最初からやる気満々で取り組んでくれることはあまりなく、最初はゲームのようにしたりして何とかやらせ始めると、案外終わるまでやってくれることがあります。「やりはじめないと、やる気はでない」ことを念頭におくと、どんな言葉かけをすると効果的なのかという工夫が生まれるのではないでしょうか。またやるべきことになかなか着手できない人は、「○○したらXXができる」などの自分へのご褒美を設定するなどして、どうしたら自分が「とにかくやり始める」ことができるのか、そこから考えてみるといいかもしれません。

「子どもの日本語力をきたえる」

みなと学園を辞める前に、学校の図書室でこの本を見つけました。著者は齊藤孝で、218f4hsf79l__sl500_aa140_「声に出して読みたい日本語」などを書いた人です。先日まで補習授業校で勤務し、たくさんのバイリンガル家庭のお子さんを見てきたこと、また私自身も二人の子どもを日本語と英語という環境で育てているため、子どもの日本語力を鍛えることには大変関心があり、タイトルに惹かれて手にとってみました。私自身は国語はずっと得意科目だったので、高校の現代文や入試に至るまで、あまり国語で苦労した覚えはなかったのですが、子どもに教えるとなると話は別です。この本を読んで、将来子どもが読解や感想文が苦手と感じたときに、どのように手助けをして教えたらいいのか少しわかったように思いました。

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イチローの言葉とソーシャル・メディア

海外に住む日本人にとって、イチローは特別な存在かもしれません。私はイチローが日本でプレーをしていたときから、千葉ロッテマリーンスタジアムや西武球場などに試合を見に行っており、アメリカに来てからもシアトルichiro_ap_260を訪ねた際には試合を見に行ったり、ここサンディエゴのペトコ球場で生のイチローを見るのを楽しみにしていました。ここ2年ほどは球場からも足が遠ざかっていますが、遅ればせながら昨夜、今回の大記録を達成した後のイチローのインタビューを母から教えてもらったこのサイトで見ました。

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霧の中を歩めば・・・

鎌倉時代の僧、道元(曹洞宗の開祖)「正法眼蔵」という書物の中に、「霧の中を歩めば覚えざるに衣湿る」という言葉があります。薄い霧の中を歩いていくうちに、いつのまにか衣は水気を含んで、気がつくとじっくりと湿っているという様子を示す言葉で、その意味するところwalk-in-the-mist3は「人間は知らず知らずのうちに周りに影響されるのだから、自分の身を置く環境を選ぶことが大事である」ということです。お子さんを持つ方、特に日本人は、この言葉を聞いて「やはりいい学校に入れなければ」と思う方もいらっしゃるでしょう。もちろん、学校をはじめ、お子さんがいる地域や周りの人々、友人との関係が大事なことは言うまでもありません。

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