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絶食系男子となでしこ姫

ハワイ行きの飛行機の中で、「絶食系男子となでしこ姫  – 国際結婚の現在・過去・未来」(山田昌弘・開内文乃著)という本を読みました。著者の一人、山田昌弘教授はあの「婚活」や「パラサイトシングル」という言葉を生み出した人で、本書では、キャリア志向で海外へ飛び出し、その結果アジアの男性と結婚する女性が増加しているという現象をもとに、日本人の結婚が減少している「結婚難」という状況を解読しています。

山田教授に草食系を通り越して「絶食系」と称されてしまった人とは、「そもそも異性との交際を諦めている、または女性との交際が面倒くさいと言って恋愛欲求すらもたない男性」のこと。その背景には、若者の雇用をめぐる状況や、女性側の「結婚によって生まれ変わりたい」という「上昇婚志向」があると指摘されています。「上昇婚」とは、文化的あるいは経済的に、結婚前よりも良くなるという意味で、例えば日本人女性が欧米系男性と結婚すれば「文化的に上昇」、また国籍・人種は問わず自分よりも収入の高い人と結婚すれば「経済的に上昇」ということを指しています。要は、その人と結婚することで一段高いレベルに引き上げてくれるような相手がいいのだけれど、現状はそれだけの収入がある独身男性が減少しており、女性にとっては魅力的な相手がなかなか見つからないという現状、つまり国内での「上昇婚」が限界に達してきた結果、国際結婚がそこにあるニーズを満たす役割を担うようになってきた・・・という趣旨です。

この記事を書くにあたってレビューをいくつか読んでいたら「それでは日本人男性はどうすればいいのだ」というつぶやきがありました。この本の後半には「好きといってくれる相手と結婚したい」というキャリア志向の女性の言葉があり、彼女は「年収や学歴が自分より下でも、好きといってくれる相手がいればすでに結婚していたと思う」と言っています。つまり、男性としてみれば、自らの年収や学歴がそれほどではない(あるいは意中の女性よりも低い)としても、挽回のチャンスは大いにあるわけです。ただその一言を言ってくれる日本人男性がいないために「もう国際結婚しかないのでは」と語る声が載せられていました。

この部分を読んで、結婚願望がありながら結婚相手が見つからない人は、結婚したいという思いは純粋でも、それがどのような形で起こるべきかということに対するこだわりが強すぎるのでは、という気がしました。その強い思い込みは、相手に求める条件だったり、出会い方だったり、さまざまな面に及んでいます。男女ともにあると思われる「男性からアプローチすべき」という考え方についても同じことが言えるのではないでしょうか。また男性の「自分の収入や学歴は好きな相手とは釣り合わない、拒絶されたら恥ずかしい」という思いにしても然りです。プライドが障害となって、人生のパートナーとなり得るかもしれないチャンスを逃すのは本当にもったないことです。

実際に国際結婚をしている一人ひとりの言葉を聞けば、多くの人はその相手の人間性に惹かれて人生のパートナーを選んでいます。また、「上昇婚」という観点からは理想的なパートナーであるはずの欧米系の人、あるいはお金持ちの人と結婚したとしても、赤の他人と一緒に生活していくことの難しさはどのカップルでも経験することですし、世に言われる上昇婚をすれば間違いなく末永くハッピーになれるというほど単純なものでもないでしょう。本書で扱っているのはあくまで「結婚まで」の期間であり、結婚してから後のことには触れられていませんが、国際結婚をしたカップルはみな、言語や文化の違いなど、国際結婚特有のチャレンジも交えて試行錯誤を繰り返しながら、パートナーシップを築いています。また現在は日本であれアメリカであれ、「安定した雇用」と思われたものがいつなくなるかわからないのも事実。そのような人生の浮き沈みを含め、何が起こっても一緒に乗り超えられる(そのための努力を一緒にできる)と確信できる相手を見つけた人が、幸せな結婚生活を手にしているのではないでしょうか。

本を読みながらひとつ感じたこととしては、国際結婚だと、結婚する相手の属性によって「XXだから結婚したのね」(例えば、相手がXX人だから、お金持ちだから、エリートだから・・)と周囲から色眼鏡で見られる可能性が、日本人同士の結婚に比べてやや高いかもしれないということです。そういった好奇の、あるいは”judgmental”な目にさらされることまで含めて、国際結婚をしようと思う人は “This is my choice. I choose him to be my partner” と言い切り、自信を持って生きる覚悟が必要でしょう。見ず知らずの他人に何と思われようがかまわないし、本当に自分のことを考え、愛してくれている家族や友人であれば、いつかは自分の選択を応援してくれるはずという強い気持ちをもって、日々の幸せを享受して過ごすことにエネルギーを注ぐことができる人こそ、国際結婚に向いていると言えそうな気がします。